みなさん、こんにちは。
ウィスコンシン州在住のゆうこです。
ここウィスコンシン州は、10月に入っても暑い日があったのがうそのように、すっかり秋らしい肌寒い日が続いています。
私は9月、定期検診のマンモグラフィをきっかけに、非浸潤性乳管がん(DCIS)と診断されました。
幸いなことに、がんが乳管の中にとどまっているステージ0での早期発見でした。
ですが、いつ乳管の外に広がる「浸潤がん」に進むかはわからないため、治療は早い方が良い…とのことですぐに乳腺外科の診察予約。
そして、10月中旬、今後私の乳がん主治医となる乳腺外科の先生との初めての診察があり、乳がんについてや今後の治療法を軸に色々なことを教えて貰いました。
私の場合、まず必要なのは「がんを取り除く手術を行う」こと。
その手術は、乳房を部分的に切除する「乳房温存療法」と、乳房全体を切除する「乳房切除術」の2つ。
この2つの手術のメリット、デメリット、将来の生存率などの説明を受けたあと、私はどちらの手術が可能なのか?を相談しながら決め、術後の治療についても話し合いました。
その中から、今回は「乳房温存療法(部分切除)」と「乳房切除術(全摘)」について、主治医から聞いた説明をまとめ、私が選択した手術についてお話しします。
乳腺外科の先生との初診察

診察では、担当の先生と研修医の先生が、これまでの画像や生検の結果を見ながら、私の現在の状態を説明してくれました。病院での難しい話の際は、毎回オンライン通訳の方に入ってもらっています。今回は夫にも電話で加わってもらいました。
- 診断名:ステージ0の非浸潤性乳管がん(DCIS)
- 場所:左胸
- ホルモン受容体:陽性
- 石灰化の範囲:約3.2×0.6cm(細長く広がっている)
「乳房温存療法(部分切除)」と「乳房切除術(全摘)」のメリット・デメリット
「乳房温存療法(部分切除)」と「乳房切除術(全摘)」について主治医より説明されたメリットとデメリットを表にまとめました。
| 乳房温存療法(部分切除) | 乳房切除術(全摘) | |
|---|---|---|
| 英語 | Lumpectomy(ランペクトミー)/ Partial mastectomy | Mastectomy(マステクトミー) |
| 入院の要否 | 日帰り手術 | 1泊〜数日の入院になることも |
| メリット | ・乳房の形を残せる ・手術の範囲が小さく、体への負担が比較的少ない | ・放射線治療が必要ないことが多い ・同じ側の乳房での再発リスクが低い |
| デメリット | ・術後に放射線治療の通院が続く(1回10分ほど、週5日、数週間) ・残した乳房に再発する可能性がある ・がんが取り切れていなければ、追加の手術になることも | ・乳房を失う(メンタルケアが必要な場合も) ・脇の下のリンパ節を調べる検査(センチネルリンパ節生検)も一緒に行うことが多く、脇の下に小さな傷ができる ・乳房を再建する場合は、形成外科での追加の手術が必要 ・乳房の再建も含めると、費用が高くなることが多い |
どちらの手術を受けても生存率は同じ
先生の説明の中には、乳房温存療法を選んでも、乳房切除術を選んでも、生存率(何年か経った時に、生きている人の割合)は同じという話もありました。
その根拠として教えてもらったのが、「NSABP B-06」というアメリカの臨床試験。臨床試験の20年後の結果は、2002年にアメリカの医学誌『New England Journal of Medicine』で発表されているものです。
- 1976年から1984年にかけて2,163人が参加した臨床試験
- 対象は、ステージⅠ〜Ⅱで、しこりの大きさが4cm以下の乳がんの女性
- 参加者を「全摘」「部分切除のみ」「部分切除+放射線治療」の3つのグループに分けて比較
- 20年間追跡した結果、部分切除(放射線あり・なし)と全摘のあいだで、生存率に大きな差はなかった
- 部分切除のあとに放射線治療をした人は、同じ側の乳房でのがん再発が大きく減った
※この試験は浸潤がんの人が対象でしたが、温存療法の考え方の土台になった試験として説明がありました。
日本の国立がん研究センターの「がん情報サービス」でも、乳房温存手術のあとに放射線治療を行えば、乳房を全部取る手術と治療の効果に差はないと載っています。
参考:国立がん研究センター がん情報サービス「乳がん 治療」
乳房温存療法ができる条件は?
ゆうこじゃあ乳房温存療法ができるかどうか、なにで決まるの?
① 本人が乳房温存療法を希望していること
どちらの手術もできる場合は、最終的には本人の希望で決まります。
② がんの範囲が限られていること
がんが広がっている範囲が、乳房の大きさに対して小さいこと。切除したあとも、乳房の形をある程度保てることが目安になります。
③ 乳房の離れた場所に、複数のがんがないこと
がんが乳房のあちこちに散らばっている場合は、部分切除では取り切れないため、全摘が勧められることが多いそうです。
④ 術後の放射線治療が受けられること
乳房温存療法は「部分切除+放射線」がセット。そのため、妊娠中の人や、重い膠原病(こうげんびょう)がある人、同じ側の胸に以前放射線治療を受けたことがある人などは、難しい場合があります。
私も、自分が当てはまるかどうかは、先生に説明してもらって初めてわかりました。一人ひとり状態が違うので、主治医に聞いてくださいね。
参考:日本乳癌学会『患者さんのための乳癌診療ガイドライン2019年版』Q22.乳房温存療法は、どのような場合に適応となりますか。
私の場合は?
私の場合のポイントは「がんの広がり方と、胸の大きさとのバランス」でした。
私のがんは、しこりではなくマンモグラフィで「石灰化(乳腺の中にカルシウムがたまって、白く写るもの)」として見つかりました。この石灰化が、約3.2cm×0.6cm、厚さ0.9cmの細長い形の中に点々と広がっています。
実際の手術では、できるだけがん細胞を取り残さないように、石灰化の周りの正常な組織も少しつけて、細長い楕円形のように切除するそうです。
胸の大きさに対して切除する範囲が小さいため、たとえ少し大きめに切除したとしても、胸の形は大きく変わらないとのことでした。
合わせて、他の条件もクリアしていることから、私の場合は乳房温存療法と全摘、どちらも選べる状態でした。
私が「乳房温存療法」を選んだ理由
乳房温存療法と全摘、どちらも選べる状態だった私が選んだのは、乳房温存療法です。
理由① どちらを選んでも生存率は同じ
いちばんの決め手になった理由です。
再発のことを考えると、全部取ったほうが安心なのでは…と思っていましたが、生存率は変わらないと聞いて「それなら乳房は残したい」と思いました。
理由② 放射線治療への不安が、説明を聞いて小さくなった
放射線治療と聞くと、髪の毛が抜けたり、体がつらくなったりする治療が、何ヶ月も続くようなイメージがありました。
でも、放射線の影響が出るのは当てた部分だけ。乳房への放射線治療なので、髪の毛が抜けることはないそうです。主な副作用は、当たった部分の皮膚が日焼けのように赤くなったり、かゆくなったりすることで、治療が終われば少しずつ回復していくとのことでした。
期間も、1回10分ほどの照射を週5日、約4〜6週間ほど。想像していたほど長くはありませんでした。
理由③ 全摘のデメリットが、私にとって負担になる
全摘の場合は、乳房を失うことに加えて、入院が必要になることもあります。再建を希望すれば形成外科での追加の手術も受けられるますが、そのぶん体への負担や費用もかかってきます。
生存率が同じなら、私にとっては温存のほうが負担がうんと少ない、と感じました。
まとめ
今回は、アメリカで乳腺外科の先生から受けた、乳がんの手術についての説明をまとめました。
乳腺外科の主治医の話を聞くまでは、手術となったら再発のことを考えると、乳房は全部取ったほうが安心なのかな?でも残したいな…と、心配なことが色々とありました。
主治医と相談し、それぞれの手術のメリットやデメリット、どちらの手術を選んでも生存率は変わらないことなどを知り、私は「乳房温存療法」を選びました。
ただ、がんの状態によっては、どちらかしか選べないこともあります。そして、全摘を選ぶことも、温存を選ぶことも、どちらも自分の体と時間をかけて向き合って決めた、大切な選択です。
私もまだ治療はこれから。
みなさんがこの先の治療を、少しでも安心して受けられることを願っています。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
※この記事は、私個人の体験をもとにしたもので、医学的なアドバイスではありません。

