馬の蹄が腐る!?愛馬ロナ約3ヶ月に及ぶ蹄叉腐爛(ていさふらん)ケアの記録

みなさん、こんにちは。
アメリカはウィスコンシン州で馬と暮らしている、ゆうこです。

9月に入り、気温が30℃を超えていた夏がようやく過ぎようとしています。
今年の夏は雨と湿度が高い日が続き、放牧地がなかなか乾きませんでした。歩くと長靴ごと足を取られそうになる日々。ぬかるんだ放牧地で生活している愛馬ロナも、いつも泥んこでした。

いつも全身泥だらけのロナを綺麗にするため、日々手入れを頑張っていたつもりだったのですが、飼い主として深く反省する出来事がありました。

それは、愛馬ロナの蹄(ひづめ)の異変を見逃し、蹄の裏が腐敗する病気「蹄叉腐爛(ていさふらん/英名:Thrush)」を発症させてしまったことです。

幸い往診が必要なほど重症化はしませんでしたが、約3ヶ月にも及ぶ投薬治療を行うことになってしまいました。

今回は、私がどんな初期症状を見逃していたのか、装蹄師さんの指摘から始まった治療の経緯、そしてこの経験から学んだことを記録として残します。

目次

見逃してしまった蹄叉腐爛(ていさふらん)の兆候

馬の蹄に起こる、蹄叉腐爛(ていさふらん)とは?

蹄叉腐爛(ていさふらん)とは、馬にはよくある蹄の感染症です。
馬の蹄の裏側にある、蹄叉(ていさ)という部分の蹄叉中溝(ていさちゅうこう)などが、細菌や真菌に感染し、腐敗、壊死が起こる疾患です。
悪化していくと…
「鼻をつく独特のツンとした悪臭」
「黒くドロッとした分泌物」
「組織が崩れて蹄叉中溝が深くなる」
といった症状が現れます。
なにもせず放置すると、強い痛みを伴って跛行(はこう:足をひきずって歩くこと)の原因にもなってしまいます。

愛馬ロナ

僕はそこまで酷くなかったから、元気に歩いてるよ!

①ロナの後脚の蹄の写真(正常)
蹄叉中溝(ていさちゅうこう)は深くない

②ロナの前脚の蹄の写真(異変あり)
蹄叉中溝(ていさちゅうこう)がかなり深く、中に泥や汚れが簡単に入る

見落としていた蹄叉腐爛の初期症状3つ

これまで経験したことがなかったため、当時は気づけなかった初期症状が3つありました。

  1. 蹄叉の溝がポケットのように深く、蹄叉が湿って柔らかかった
    (泥を掻き出す作業だけに満足し、溝が深くなって組織の弾力が失われていた変化を見逃した)
  2. 「匂い」や「黒い分泌物」がなかったので、感染を疑わなかった
    (蹄叉腐爛の初期は、匂いや分泌物がないケースもあることを知らなかった)
  3. 拭いても乾かない、溝の奥の湿り気は泥だと思っていた
    (蹄が湿っていたのは単なる泥ではなく、蹄叉腐爛の初期症状、腐敗の始まりだった可能性がある)

「ちゃんと裏掘りをしているから大丈夫」ーそう思っていましたが、普段の裏掘りと「蹄叉腐爛の確認」は全くの別物だと考えておくべきでした。
わかりやすい感染の症状が出ていなくても、蹄には初期のサインが出ていたはずなのです。

悪戦苦闘!ロナの蹄叉腐爛ケアの記録

感染の発覚から試行錯誤を繰り返し、健康な蹄を取り戻すまでの悪戦苦闘の記録です。

装蹄師さんの指摘で市販薬を塗りはじめる

ロナの蹄の定期メンテナンスのために来た装蹄師さんが「ロナは少し蹄叉腐爛(ていさふらん)になりかけてるね」と指摘。
毎回、欠かさず裏掘りをしていたうえに、ツンとした悪臭も黒いドロッとした分泌物も無かったため、その時は寝耳に水でした。

泥を落とすことだけに集中していた私とは違い、プロの目は溝の「深さ」と「組織の軟化」をしっかりとチェックしてくれていました。
蹄叉腐爛についてほとんど知識がなかった私は「これはまた獣医さんかな…」と。

トレーナーさんに相談すると「獣医さんに来てもらうほどではなさそう(そこまで酷くない)、まずは市販薬で対処しても大丈夫!」と。
すぐにアメリカで定番の市販薬「Kopertox(コパートックス)」を購入。

裏掘り後に蹄叉(ていさ)、特に蹄叉中溝(ていさちゅうこう)へ薬を塗る処置を始めました。
市販されているボトルが使いにくいので、詰め替えてます。

市販薬から処方薬へ変更

2週間ほど塗布を続け、患部からは匂いや、分泌物も変わらず出ていなかったので「Kopertox(コパートックス)」は止めて、様子を見ることに。
そして、装蹄師さんの定期訪問の際に再度見てもらうと…
「まだ溝の奥がかなり湿ってるから、これは獣医師さんから薬を処方してもらった方が良いね」
と言われてしまいました。(ガーン!)

頑張っていた塗布もむなしく、改善していなかったのです。

獣医さんに相談すると「往診に行くほど悪くはなさそう、薬を渡すので、2週間、毎日塗布すること」とのこと。
処方された薬は、牛の乳房炎の治療に使われる薬「Tomorrow」というもの。
「え?牛用なの?」と思いましたが、調べてみると、蹄叉腐爛の治療にも良く使われている薬でした。
馬の世界、奥が深いというか、飼ってみないと知らなかったことが多過ぎます。

この「Tomorrow」という薬は、深い溝の奥まで薬を注入できる注射器のような容器に入っていました。
トレーナーさんから、患部に薬が長く留まるように、薬→細かくちぎったコットンボール→薬→コットンボール…とミルフィーユのように重ねる「コットンパッキング」という方法も教わりその通りに毎日、3週間続けました。

注入しやすいとはいえ、この体勢で脚4本分、それを毎日…人にも堪える作業です…。

写真で見る、蹄の回復記録(6月〜9月)

【6月下旬:装蹄師さんから指摘を受けた直後の写真】

蹄叉中央の溝がポケットのように深く、溝の周りも白っぽく軟化していました。見た目には分泌液や悪臭はなくても、溝にピックを入れると奥深くまで入ってしまう状態でした。

【8月:少し改善の兆候が見えてきた頃の写真】

処方箋の薬「Tomorrow」をはじめて2週間後。
毎日の薬の注入とコットンパッキングを続けたことで、溝の底から新しい組織が盛り上がり始めました。奥のジュクジュクした湿り気が引き、白っぽくなっていた所に黒さが戻ってきています。触ったときのブヨブヨ感が減って弾力が戻ってきた時期です。

【9月:かなり回復してきている写真】

えぐれていた深い溝がすっかり埋まり、蹄叉全体が本来のしっかりとした硬さと黒さがだいぶ戻りました。
あともう一息で、完治しそうです!

蹄叉腐爛を未然に防ぐ「2つの心得」

一度治ったとしても、雨やぬかるみの多い季節になれば再び感染のリスクはやってきます。
そこで「再発させないための2つの心得」は…

  1. 「泥落とし」から「蹄の健康観察」へ
    泥を落としたあと、必ず指先やピックの感触で「溝の深さ」「組織の弾力」「奥の湿り気」「匂い」をチェックする観察時間にする。
  2. ぬかるむ時期は「症状が出る前」に予防する
    雨続きで放飼場がぬかるむ時期は、市販薬を早めに塗るなど予防ケアを取り入れるようにする。
    「なってから治す」のではなく「菌が入りやすい状態を作らない」。

おわりに

今回は、「蹄叉腐爛(ていさふらん)」の症状と治療の経緯などをお話ししました。
現在も、ロナの蹄が健康な状態に回復するように日々の観察とケアを継続しています。

当たり前だけれども、不調があってもなかなか馬は言葉では教えてはくれません。だからこそ、いちばん近くで見ている人が気を付けなくてはいけないことです。
ロナの蹄叉腐爛は、幸いにもひどい状態になる前に処置を始めることができ、ロナ自身も痛みはきっとなかったと思います。

馬の脚、蹄は人間と同じように第二の心臓と呼ばれるほど大切なところ…
今回の経験を忘れずに、これからもロナの脚、蹄の健康を見守っていきたいと思います。

人も馬も健康第一!

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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この記事を書いた人

福岡県生まれ、東京都調布市育ち。
2018年に結婚を機にアメリカ・ウィスコンシン州へ移住しました。
現在はアメリカ人の夫、2人の子ども、猫3匹、そして愛馬と暮らしています。
このブログでは、ウィスコンシンでの暮らしや子育て、アメリカで馬オーナーになった経験、愛馬の健康管理など、実体験などを綴っています。

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