皆さん、こんにちは。
ウィスコンシン州で愛馬ロナを家族に迎えた、ゆうこです。
厳しい冬がようやく終わりを告げ、牧場にも少しずつ緑が戻ってきました。
愛馬ロナと一緒に過ごす初めての春、暖かくなるのは嬉しい反面、馬主として大切なのが、馬の春の健康診断(馬ドック)です。健康診断では、主に寄生虫や感染症の検査、歯のすり減り具合、チェックします。そして一緒に予防注射も打ちます。私はロナの歯の検診をはじめて見ることができました。
今回は、初めての獣医さんに診てもらうロナの様子とともに、検診の項目と費用をまとめました。実際にどんな診察をするのか、費用はどのくらいだったのかをお話します。
■今回ロナが受けた一般的な健康診断の内容ー4つの検査と予防接種ー


今回ロナが受けた検査の一番の目的は、歯の検査と整歯してもらうことでした。
ほかに基本の身体検査、検便、血液検査、予防接種を受けました。
①身体検査(Equine physical exam)
- バイタルチェック : 体温、心拍数、呼吸数の測定
- 心音・肺の音の聴取 : 心雑音がないか、肺に異常な音がないか
- 粘膜・水分のチェック : 歯茎の色や、皮膚の弾力で脱水状態を確認
- ボディコンディション : 太り過ぎ、痩せ過ぎなど体型の診断
②口腔内の検査と整歯(せいし)(Dental Floating)
馬の歯は1年に2~4㎜伸び、生涯伸び続けます。咀嚼で表面が自然に削れていきますが、均等に削れず部分的にとがってしまい口の中に傷ができてしまったり、噛み合わせが悪くなってしまう原因になります。
歯の嚙み合わせが合っていない部分、とがってしまっている所を削ってもらいます。歯を研磨することを整歯(せいし)と言います。
ロナは左側だけ少しとがった所があり、削ってもらいました。5分ほどで終わりました。
馬の年齢によって歯の検査の回数は変わってきますが、少なくても1年に一度は受けた方が良いそうです。


□ロナを鎮静剤で半分眠らせ、口腔内のチェックと歯の研磨をします
歯のチェックは馬が動かない状態で行うため、軽い鎮静剤を打ちます。麻酔でウトウトしている間に口が閉じないように器具を取り付け、獣医さんが手を入れて歯の数、形、歯茎、歯周病、舌など口腔内全体をチェックした後、歯を研磨します。
ロナはこの鎮静剤が効きやすい馬のようで、5分もしないうちに体が横にゆらゆらと動き始め、ほとんど寝てしまいました。立った状態で眠れる馬って凄いですよね。
ロナは前脚がカクっとしてしまうほど眠ってしまい、カクっとした時にロナの顎が床にぶつかり口の中が切れてしまう、というちょっとしたアクシデントがありました。ちょっとびっくりしましたが、ロナは特になにも感じていない様子で2日後には、ほぼ傷はなくなっていました。
ロナが半分寝ている間に、口を開けた状態を維持する器具を取り付け、口の中を軽く洗浄し、頭を台に乗せます。力が抜けている馬の頭を人の肩程の高さに持ち上げるのは重たいようで、2人がかりでした。
半分寝ているロナの目はボーっとして、口もポカーンと開いている顔がなんとも言えず、頑張っているロナには申し訳ないけれど笑ってしまいました。



実はロナは、これまでオーナーが何度か変わってきていることから本当の年齢や誕生日が不明です。
これまで私たちは、ロナの年齢は(多分)15、6歳くらいと聞いていたので、そう言ってきました。今回、獣医さんにそのことを話すと、獣医さんは歯を見ながら「そうね15歳くらいね、歯と歯茎は健康そうでGoodよ!」と教えてくれました。歯はその子たちの年齢も教えてくれる大事な体の一部なんですよね。
③コギンズテスト (Coggins Test)
感染症のひとつ馬伝染性貧血(EIA)の検査です。コギンズテストは、馬伝染性貧血(EIA)に対する抗体の有無を調べるための血液検査です。EIAは感染すると命に関わる病気ですが、現在もEIAに対するワクチンや治療法がないため、感染拡大を防ぐには検査が不可欠です。
多くの馬術競技会や預託施設では、馬が敷地内に入る際、または競技に参加する際に、コギンズ検査の陰性証明書の提出が義務付けられているので、最低でも1年に一度は検査を受けます。
④便検査 (Fecal Exam)

便の中の寄生虫の卵数を数え、卵の数が規定数以下であるかを調べる検査です。ロナは検査には引っ掛かりませんでしたが、私たちが住んでいる地域では春と秋に、馬の虫下し(駆虫薬)イベルメクチンやプラジクアンテルを成分とするペースト剤の薬を飲ませているので、指定された虫下しを購入し、春の分を飲ませました。
⑤予防接種 (Vaccines)
- 混合ワクチン:東部・西部馬脳炎、破傷風、西ニイルウイルス(Eee/Wee/Tetanus+ W. Nile)
- 馬鼻肺炎・インフルエンザワクチン:馬鼻肺炎(ライノ)、馬インフルエンザ(Rhino / Influenza)
春になり病気を媒介する虫が活発になる前に、混合ワクチンを受けることが一番良いタイミングとされています。どちらのワクチンも毎年受ける必要があります。
■診察が終わり、獣医さんとのお話し
検診はだいたい20分で終わりました。まだ半分眠っている状態なので1時間ほど休みます。
ロナが休んでいる間に少し獣医さんとお話ししました。
獣医さんはロナの筋肉がすこし少ないことを教えてくれました。厳しい冬で筋肉が瘦せてしまったことも考えられるから、乗らなくても良いから、歩かせたり、軽く走らせる運動だけでも良いから継続してあげてねとのお話でした、この春夏は少し筋力アップトレーニングを開始していこうと思います。

□ロナのさく癖(さくへき)のことを聞いてみました
ロナには「さく癖」(Cribbing)という、固定された物に上の前歯をひっかけ空気を飲み込む癖があります。この「さく癖」についても聞くことができました。「さく癖」は重度の場合は死に至る「疝痛」という腹痛の原因になるとも言われている、あまり良くない癖です。
私たちの前のオーナーが、さく癖を止めさせる対策をしてみたけれど、効果がなく現在も続いていることを話すと、獣医さんがロナの上の前歯を見せてくれました。本来なら上下は同じくらいの歯の長さのはずが、ロナの上の前歯はかなりすり減っています。ロナはもう長年この癖を持ち続けていることが想像できました。
残念ながらロナほどの年齢(16歳くらい)までになってしまうとこの癖を直すのは難しく、これといった対策はないということでした。癖を直すことは難しいけれど、定期的に歯のチェックを受けることは大切、というお話しもありました。
少し残念な気持ちにもなりましたが、仕方ありません。私ができることといえば前歯を当ててしまう場所から少しでも離すために外に出してあげること、歯のチェック、くらいなのかな…と感じながら獣医さんの話を聞いていました。この「さく癖」のことはずっと気になっていたことだったので、獣医さんと直接お話しができて良かったです。


■今回の健康診断の費用と内訳
最後に今回、ロナが受けた健康診断の内容と費用です。
検査費用、予防接種、出張費を合わせて$418.20でした。決して安くはないけれども医療費が高額なアメリカで大きな馬の検査をしたわりには、思ったより安かったかなと思いました。
| 項目(英語) | 日本語訳 | 費用 (USD) | 内容の説明 |
| Partial Stable Call | 往診料(按分) | $25.50 | 獣医さんが厩舎へ来てくれる費用です。他の馬と同じタイミングで受けたので按分計算になっています。 |
| Eee/Wee/Tetanus+ W. Nile Vaccine | 混合ワクチン | $55.91 | 東部・西部馬脳炎、破傷風、西ニイルウイルスの混合ワクチン |
| Rhino / Influenza Vetera 2XP Vaccine | 鼻肺炎・インフルエンザワクチン | $48.59 | 呼吸器疾患を防ぐためのワクチン |
| Coggin’s Test (E.I.A.) | コギンズテスト | $48.50 | 馬伝染性貧血の血液検査 |
| Fecal Egg Count | 便検査(虫卵数検査) | $36.00 | 便の中に寄生虫の卵がどれくらいあるかを確認する検査 |
| IV Sedation | 静脈内鎮静 | $45.50 | 歯の処置を安全に行うための、ベースとなる鎮静(麻酔にちかい) |
| Detomidine / Butorphanol | 鎮静剤・鎮痛剤追加 | $22.70 | 口腔内をケガしたロナがリラックスして処置を受けられるよう追加された鎮痛剤 |
| Dental Exam & Odontoplasty | 歯科検診と整歯 | $135.50 | 歯の状態をチェックし、とがった部分を削る(整歯)メインの処置費用 |
| 合計 | $418.20 |
■まとめ
今回は、ロナの健康診断の様子と項目と費用をまとめました。
今回の検診は、ロナにとって初めての健康診断だったので見ている私も少し緊張しましたが、獣医さんに診ていただいて大きな問題はないよ、とお話しもできたので、安心しました。
ロナは推定16歳、人間で言うと50歳前後くらいでしょうか…
少しずつシニアになってくる年齢なので、今後も健康管理や軽い運動を継続していくことが大切なんだなと思いました。検診を頑張ったロナの姿を見て、お疲れ様、これからも元気に長生きしてね!そう思いながら帰宅しました。
これからも、ウィスコンシン州の気持ちのいい景色の中で、ロナと一緒に乗馬生活を楽しんでいきたいと思います。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。


