皆さん、こんにちは。
ウィスコンシン州の豊かな自然の中で暮らしながら、ブログを綴っているゆうこです。
私がウィスコンシン州へ移住して驚いたのは、スーパーに並ぶチーズの種類の多さとその美味しさでした。すっかりチーズに夢中になり、気づけばチーズソムリエの資格を取るまでになっていました。
ウィスコンシン州は全米1位のチーズ生産量を誇る「酪農王国」ですが、なかでも特別な存在なのが「コルビーチーズ(Colby Cheese)」です。実は、このコルビーチーズは140年前にウィスコンシン州の「コルビー(Colby)」という小さな町で誕生したチーズなんです。
生みの親であるジョセフ・スタインワンド氏が、チェダーチーズの製造過程で、よりマイルドな味を求めて改良を重ねた結果、誕生したのがこのコルビーチーズ。もともとチェダーチーズをベースに作られ、同じ天然色素「アナトー」で着色しているため、見た目はチェダーチーズと見分けがつかないほどそっくりです。
では、チェダーチーズとコルビーチーズはどこが違うのでしょうか?
今回は、ウィスコンシン州発祥のコルビーチーズについて、誕生のきっかけとなったチェダーチーズとの3つの違い、そしてコルビーチーズをより美味しく楽しめるおすすめのペアリングをご紹介します。
■コルビーチーズは140年前にウィスコンシン州の小さな町「コルビー」で生まれた

コルビーチーズは、ウィスコンシン州の中心部のクラーク郡とマラソン郡の2つの郡にまたがっている「コルビー」という小さな集落で1885年に誕生しました。
コルビーチーズが誕生した時の人口はわずか275人と小さな集落でしたが、現在は人口約2,000人ほどのコルビー市へと発展しています。
□コルビーチーズはチェダーチーズ製造中に生まれた新しいチーズ

コルビーチーズを誕生させたジョセフ・スタインワンド氏と家族は、小さなコルビーの集落の中でチーズ工場を経営し、主にチェダーチーズを製造していました。
ジョセフ氏は新しいチーズの開発に取り組み、1885年に新しいチーズを誕生させ、住んでいる町コルビーにちなんで「コルビーチェダーチーズ」と名付けました。
1918年頃のジョセフ・スタインワンド氏
かつてスタインワンド家のチーズ工場があった場所には、1965年に新しくコルビーチーズ工場建てられました。
1983年に閉鎖されていますが現在も歴史的建造物として残されています。

写真出典:Wikipedia(Colby cheese)
■コルビーチーズとチェダーチーズの3つの違い


コルビーチーズはチェダーチーズと同じ天然色素「アナトー」で色を付けているため、見た目はそっくりです。よーく見ると、コルビーチーズの断面にはちいさな気泡がありますが、パッと見ただけではわかりません。では、2つのチーズはどこが違うのでしょうか?
①2つのチーズの製造方法の違い
チーズを作る基本の工程は、ミルクに乳酸菌(スターター)と凝乳酵素(レンネット)を加え、凝乳(カード)という塊にします。ここまでは、コルビーチーズ、チェダーチーズともに同じ製法です。
コルビーチーズを誕生させたジョセフ氏は、チェダーチーズ特有のチェダリングの工程を行わず、冷水洗浄という工程に変え、チーズの酸味を抑えまろやかな味になる新しいチーズを生み出しました。これがコルビーチーズの始まりです。

②工程の違いで生まれる弾力、食感の違い
・チェダーチーズは、ブロックのチーズを手で軽く押してみるとしっかりと弾力が感じられます。これはチェダ(カード)をカットし積み重ね、反転させることで、水分が抜けているからです。口に入れた時にはしっかりと弾力がありながらも、小さく崩れるような食感です。
・コルビーチーズは、折りたたみ積み重ねるチェダリングの工程を行いません。そのため適度に水分と空気が残りふんわり、しっとりしていて、柔らかい食感のチーズです。
水分量が多く溶けやすいので、パンの上に乗せてトースターで焼いたり、オニオンスープ、グラタンやキッシュにもおすすめです。
③熟成期間で変わる味の違い
・チェダーチーズは熟成チーズとも言われ、長期間熟成させることで、マイルドチェダーチーズからシャープチェダーチーズへと変化し酸味とチーズのコクが増した味の濃いチーズへと変化します。これはチェダリングの工程で乳酸菌がしっかり働き発酵し酸味を生み出しているためです。
・コルビーチーズは酸味となる乳糖(ラクトース)が洗い流され、熟成期間も1〜3ヶ月と短いため酸味が出にくく、牛乳の甘みやクリーミーな味わいが引き立ちます。チーズ特有の香りも控えめなので、子供も食べやすいチーズです。
■コルビーチーズの美味しさが引き立つペアリング
ペアリングとは相性の良い飲み物や食べ物を組み合わせて、お互いの美味しさを引き立て合うことです。
ほんのり甘いしっとりとしたコルビーチーズは、どんな食べ物や飲み物が合うのでしょうか?
チーズソムリエおすすめの組み合わせをご紹介します。

□コルビーチーズのほのかな甘さを引き立たせるフルーツやナッツ
しっとりとしたコルビーチーズにはシャキッと歯ごたえがあるものや、瑞々しいりんご(酸味が強すぎないHoney CrispやFuji)洋ナシ、ぶどうなどがおすすめです。
酸味が強い柑橘類、パイナップルやキウイ、苺などはコルビーチーズのほのかな甘みを消してしまうので、おすすめしません。
ナッツは味付けがされていないピーカン、カシュー、くるみなど、コクは感じられるけれど、苦みが少ないナッツがおすすめです。
アーモンドの皮つきは、皮の渋みがコルビーチーズの甘さを消してしまうので、皮がついていないものがおすすめです。
□強すぎない塩味のハムやサラミ
塩味の少ないハニーハム、サマーソーセージ、サラミがおすすめです。コルビーチーズのほのかな甘さを消してしまわないように、スモークされていない、辛さが控えめのものがおすすめです。
□コクはあるけれど、苦すぎずスッキリしたビール
ウィスコンシン州の地元のパブや家庭で、コルビーチーズと一緒に楽しまれているビールで人気なのは、ピルスナー(Pilsners)、ペールエール(Pale ales)、アンバーラガー(Amber Lager)です。
アルコール度数10%以上のビールは、コルビーチーズの繊細な風味を損なってしまう可能性があるため、あまりおすすめしません。
□フルーティーで軽やかなワイン
赤ワインなら、タンニン(渋み)穏やかでベリーの香りのする、ピノ・ノワール(pinot noir)、ロゼ(Rose)、カベルネ・ソーヴィニヨン(Cabernet Sauvignon)がおすすめです。
白ワインなら、シャルドネ(Chardonnay)、リースリング(riesling)、ソーヴィニヨン・ブラン(sauvignon blanc)、ピノ・グリージョ(pinot grigio)などがおすすめです。
□コルビーチーズの甘さを楽しめるノンアルコールドリンク
お酒が苦手な方におすすめなドリンクは、りんごをまるごと絞ったアップルサイダー、スパークリングウォーター、酸味の少ないグレープジュース、アールグレイやダージリン紅茶です。
■今回のまとめ
今回は、ウィスコンシン州発祥のコルビーチーズについてご紹介しました。
そのままスナック感覚で食べても、ビールやワインと一緒に食べても美味しいコルビーチーズ、まずは一切れ、そのしっとりとした柔らかさを体験してみてください。
一緒にチェダーチーズと食べ比べをしてみると、それぞれの香りや食感、風味の違いも楽しめると思います。
チーズの生産量世界一位のアメリカには、日本であまり見かけたことがないチーズがたくさんあります。皆さんもぜひ、色々なチーズを試してみてくださいね。
ウィスコンシン州には「チーズカード」というおすすめのチーズもあります。こちらもチェックしてみてくださいね。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
参考文献: Wisconsin Cheese



