みなさん、こんにちは。
ウィスコンシン州で馬と暮らしている、ゆうこです。
寒かったウィスコンシン州もすっかり気温が上がり、昼間は30℃近くになる日も出てきました。いよいよ本格的な乗馬シーズン到来です!
と、ワクワクしていたのも束の間、ここ最近は愛馬ロナの機嫌があまりよくありませんでした。
レッスン中もうまく走ってくれず「私の乗り方が悪いのかな?」「今日は気分が乗らないだけかな?」と思いながら過ごしていましたが、数週間してもロナの様子が変わらないので獣医師に相談し跛行検査(Lameness examination)というものを受けました。
検査と診察の結果、ロナが走らない原因は左前脚の蹄の一部が欠けていることでした。
蹄に起きたほんの小さなトラブルでも、ロナにとっては走るのが嫌になるほどの痛みだったようです。
この記事では、実際にロナが受けた跛行検査の流れや診察費用、原因が分かるまでの経緯を、体験談を交えながらご紹介します。
・馬が急に走らなくなり、不調の原因が分からず悩んでいる方
・馬の調子が良くない気がするけれど、獣医師に診てもらうべき?と考えている方
・馬の跛行検査ではどんなことをするのか知りたい方
という方の参考になれば嬉しいです。
愛馬ロナの機嫌が悪く走らない
ここ最近の乗馬のレッスンで、ロナを少し早く走らせようとすると、嫌がるような仕草で反抗的な態度をとり走ってくれない。
ロナが反抗的になってしまうのは、以前にもあったことなので私の乗り方やロナの態度に問題があると思いそのまま数週間ほど乗り続けました。
ところが、ロナの様子は変わらないので、仲間に相談すると、一度獣医師に診てもらった方が良いかもしれない…と話してくれたので、すぐにかかりつけの病院へ。
動画を撮影し、動物病院へ
ロナの走っている姿を動画で撮影し、ロナのかかりつけの動物病院へ持っていくと、動画を観たスタッフは「左前脚が少し痛そう、これは検査をしましょう」と「跛行検査(Lameness examination)」の予約をしてくれることに。
アメリカの獣医師の予約が混み合っていることも多く、今回は予約が取れたのは約1ヶ月先です。
緊急の場合はもっと早く予約が取れますが、今回のロナのケースは緊急では無かったので診察は少し先。
検査と診察結果が分かるまでは、激しい運動はしばらく控える必要があったので、無理に走らせたりはせず、軽い運動に切り替えました。
跛行(はこう)検査とはどんな検査?
「跛行(はこう)」とは、痛みや違和感によって、足をかばいながら歩いたり走ったりする「歩様異常(ほよういじょう)」のことを言います。
馬は言葉で痛みを伝えることができません。そのため、歩き方や走り方、姿勢の変化などから痛みの原因を探るのがこの検査です。
一般的に行われる検査の流れ
獣医師や病院によって細かい手順は異なりますが、一般的な跛行検査は以下のような流れで行われます。
- 視診と触診: 立っている姿勢のバランス、四肢や関節・背中に熱感や腫れがないかを細かく手で触って確認します。
- 運動の観察: 平らな硬い地面の上を歩かせたり走らせたりして、頭の上下動や腰の揺れから不自然な動きをチェックします。
- 屈曲試験: 特定の関節を1分ほど深く曲げた状態に保った直後、すぐに走らせることで、潜在的な痛みや炎症がないかを調べます。
- 診断的麻酔(神経ブロック): 痛むと思われる部分に局所麻酔を打ち、もう一度走らせて「歩様が改善するか」をピンポイントで特定します。
- 画像診断: 原因部位が絞れたら、必要に応じてレントゲンや超音波(エコー)検査を行い、骨や靭帯・腱の内部の状態を診断します。
今回のロナの場合は、2番目の運動チェックと、3つ目の「脚を曲げてキープする検査(屈曲試験)」、そして4番目の局部麻酔を組み合わせることで、早い段階で原因が特定できました!
どんな時に受ける検査?
跛行検査は、以下のような時に行われます。
- 以前より走りたがらなくなった
- 歩き方や走り方がいつもと違う
- 左右どちらかの脚をかばっているように見える
- レッスン中に急に反抗的な態度が増えた
- 原因不明のパフォーマンス低下が見られる
ロナの場合は、脚を引きずっているわけではありませんでしたが、「なんとなく走りたがらない」「動きがぎこちない」という違和感がきっかけでした。
検査時間はどれくらい?どこでやるの?
今回の検査は、診察から局部麻酔による確認まで含めておよそ30分ほどでした。
獣医師がロナの全身の状態を確認しながら原因を絞り込んでいきますが、蹄の欠けた部分が早く見つかったので、時間はかからなかった方だと思います。目に見えない場所の痛みを探したり、レントゲンが必要になるともっと時間がかかると思います。
アメリカでは獣医師に自宅の厩舎まで来てもらう「往診(Stable Call)」の形が一般的です。今回のロナの検査も、厩舎で行いました。
オーナーがトレーラーで馬を直接大きな動物病院(クリニック)へ連れていくケースもあります。
当日の獣医師による愛馬ロナの診察と検査
検査は獣医師と助手さんの2人でロナの体や脚を診てくれます。
骨格、筋肉、関節などをくまなくチェック
背骨、肩、腰、脚、蹄(ひづめ)の硬さや形、筋肉の柔軟さ、関節に腫れがないかなど、全身をくまなく診てくれます。
蹄鉗子(ていかんし)という大きなペンチのような器具を使って、蹄のさまざまな場所を少しずつ挟み、痛みの有無も調べていました。



ロナを走らせて痛がっているかどうかを観察します

体や脚の動きをチェック

実際にロナを走らせて、走り方から「どこが痛いのか」を観察します。 助手さんが、ロナを円を描くように走らせ、獣医師はその走り方を見ながら、どこを痛そうにしているのかを診察します。
ほんの数分走らせるだけで、どこが痛いのかをすぐに見抜いてしまう獣医師に「さすがだなぁ」と感心しながら見ていました。
脚ごとの診察と検査


4本の脚を1本ずつ検査していきます。 まず脚を曲げて持ち上げ、30秒から1分程度その状態をキープします。その後、持ち上げていた手を離し、直ぐに軽く走らせます。
このチェックで問題があると馬はスムーズには走ってくれないそうですが、ロナはこの運動の時は特に大きな問題はなかった様子です。
ロナの不調の原因は、左前脚にあった

ロナの全体の動きや走る時の不機嫌な様子から、獣医師に「左前脚になんらかの問題がある」と診断されました。 そこからはさらに踏み込んで、左前脚の何が原因か?を診ていきます。
すると、左前脚の蹄に少し欠けてしまっている部分があるのを獣医師が見つけたのです!
写真でははっきりとわかりますが、はじめは獣医師も気が付かないほど見つけにくい場所でした。 獣医師は、おそらくこれが原因ではないか、と目星をつけます。
局部麻酔を打ち、もう一度走らせると…
獣医師が見つけた、蹄の欠けた部分に局部麻酔を打ちます。歯科治療の際に歯茎に打つ麻酔のようなイメージです。
そして、もう一度ロナを走らせてみると、先ほどまでの走りとは全く違いました。 ど素人の私が見てもわかるほど違いました。ロナは首をしっかりと上げて、目線も高く、頭の動きも安定して走っていました。
獣医師による、今回の診断結果は?
- 痛みの原因:左前脚の蹄の欠けた部分。蹄の痛い部分をかばおうとして他の脚や背中にも影響が出て筋肉に凝りや張りも出ている
- 発生した時期と原因: 欠けた時期はおそらく2〜3ヶ月前。原因は春先の天候で雨が多く、地面がずっと湿っていたこと。それにより蹄がふやけて柔らかくなり、もろくなっていた。そこに硬い石や地面の衝撃を受け欠けてしまった可能性がある
- 他に気が付いたこと: 後ろ脚の蹄には両方ともにアザの跡があり、春先の地面の緩さが蹄に負担をかけていたと考えられる。今はおそらく痛みはないが、痛かった時期があった。
これはロナだけではなく、周辺にいる他の馬たちにも今年は多く見られた症状。
今回の診察費用は?
今回かかった診察費用は合計で222.80ドルでした。
アメリカの地域や診療内容によって費用は変わりますが「実際にこれくらいかかった」という参考になれば嬉しいです。
この明細を見た時に「跛行検査の料金はどれだろう?」と思ったのですが、実際には複数の検査や処置を組み合わせて診断していたため、1つの項目としては記載されていませんでした。
| 項目 | 費用(USD) |
|---|---|
| 往診料(Stable Call – Zone 1) | $68.50 |
| 蹄の検査(Hoof Exam) | $84.00 |
| 神経ブロック(Peripheral Nerve Block) | $58.50 |
| 麻酔薬(Carbocaine Injection 4ml) | $11.80 |
| 合計 | $222.80 |
今後の経過観察とケアのプランは?
- 蹄の回復について: 欠けた部分の蹄は徐々に戻ってきますが、元通りになるには3〜4ヶ月はかかりそう、その間も痛そうな状態が続くようであれば、投薬や、蹄の成長具合によってサプリメントなどの調整も考えていく
- 今後の運動について: この先1ヶ月は、無理に激しい運動はさせないこと。けれども、全く動かさないのも良くないので、ロナの様子を見ながら、軽い運動は継続させる。1ヶ月過ぎたあたりから徐々に運動量を増やしていっても良い。
- 獣医師からのアドバイス: 現在、ロナの全身が凝り固まっている状態なので、整体やストレッチをしてあげるのも効果的
今回のまとめ
今回は、ロナが走らない時に受けた跛行検査についてお話ししました。
ロナの不機嫌具合や、走り方の変化にすぐに気が付かなかったことに後悔は残りましたが、ひどくなってしまう前に獣医師に診てもらって本当に良かったです。
馬は言葉で「ここが痛い」と伝えることができません。
だからこそ、「なんだか様子がおかしいな」という小さな変化に気付いてあげることが、とても大切なのだと今回改めて感じました。
もし愛馬が急に走らなくなったり、いつもと違う様子を見せたりしたら、「気分の問題かな」と決めつけず、一度獣医師に相談してみることをおすすめします。
ロナも原因が分かったことで適切なケアを受けられ、私もホッとしています。
湿った地面が蹄にそんなに影響するとは驚きでしたが、今年のウィスコンシン州の春は他の馬たちにとっても大変な季節だったようです。
検査で原因が分かったので、ロナのペースに合わせて蹄の回復をサポートしていこうと思います。
同時に受けた愛馬ロナの整体の様子はこちらから。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。
